Academic Research
“海藻スプラウト”の栄養成分に関する研究 – 小形海藻の利用価値創造を目指して –

“海藻スプラウト”の栄養成分に関する研究 – 小形海藻の利用価値創造を目指して –

  • テーマ

    その他

  • 研究機関名

    北海道立工業技術センター 研究開発部 食産業技術支援グループ

  • 代表者

    木下 康宣

  • 本研究の主旨

    我が国には、有用な海藻資源が豊富に存在している。これらは、豊かで独創的な和食文化の形成に貢献すると共に、地域経済を育む重要な役割を担ってきた。 海藻では、他の種と比べた時のサイズが大きいか小さいかで使い分ける「大型」「小型」という言葉と、同じ種の中で比較した際のサイズが大きいか小さいかを表す「大形」「小形」という概念が存在する。こうした中、これまでの海藻利用の歴史を振り返ってみると、我が国では古くより、「大形」葉体を上手く利用する食文化が形成されてきたことが窺える。しかしながら、このことは同時に、これまでの利用文化では生育期間の短い「小形」葉体に関する特性理解が乏しいことを示している。そこで本研究では、近年、地域海藻資源としての活用が期待されている紅藻「ダルス」を例として、「小形」葉体が有する栄養学的特性を理解するための検討を行った。この概念は図に示したとおりである。その結果、「小形」葉体は「大形」葉体に比べ、一般成分ではたんぱく質が1.4倍、ミネラル類では鉄が1.5倍、ビタミン類ではβ-カロテンが1.6倍となるなど、多くの興味深い特徴を有していることが明らかとなった。 我が国における海藻利用は、長い歴史を有しているが故に固定観念に囚われがちで、本来有している潜在能力を活かしきれていない面があるように思われる。また、少子高齢化やコロナ禍といった、予測できない社会環境の変化が起こり得る今日では、海藻の生産利用においても、より多くの選択肢を持つことが重要と考える。今回得られた結果は、「小形」に特化した「海藻スプラウト」という新たな市場が形成できる可能性を示すもので、興味深い。

【北海道立工業技術センター 研究開発部 食産業技術支援グループ】Fooma2023提出書類-アカデミックプラザ掲載内容_図_木下康宣 (003)

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