だし原料の抽出性向上と風味を制御する加工技術
(乾燥コンブの温湿度加工による品質制御)
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テーマ
加熱・乾燥
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研究機関名
北海道立工業技術センター 研究開発部 応用技術支援グループ
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代表者
小西 靖之
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本研究の主旨
だしの抽出に用いられる乾燥コンブは生産直後より2~3年保管したものがだしの抽出性や風味が良好になると言われており、長いものだと5~10年保管した「熟成乾燥コンブ」も流通しています。これは長期保管中にメイラード反応が進行することに起因し、だし抽出液の風味が変化し、抽出しただし色が変化すると共に、だしの粘性も低下します。 この様に、乾燥コンブを長期保管することにより、付加価値は向上するのですが、保管倉庫を確保したり、保管条件を管理したりするなど、多くの手間や費用を要します。 本研究では、乾燥コンブを高温・高湿度条件で湿熱加工処理を行うことにより、長期保管と同等の「熟成乾燥コンブ」の特性を短時間で実現できる加工技術について取り組みました。例えば、110℃の過熱蒸気に微粒水滴を含ませた高温・高湿度条件で1分~5分間、乾燥コンブに湿熱加工を行い(図1)、その後、湿熱加工時に吸水したコンブを再乾燥することにより、だし抽出性や風味制御の加工を行いました。 その結果、湿熱加工時間の増加により抽出しただしのグルタミン酸量は増加し(図2)、だしが抽出しやすくなっていること、だしの味覚センサー評価では「酸味」や「渋味刺激」のスコアーが湿熱加工時間の影響を受けることが分かりました(図3)。 これらの結果より、乾燥昆布の湿熱加工は短時間に「熟成乾燥コンブ」風味を実現できる技術であることが分かります。今回の報告では、加工方法、風味の特性、旨み成分(グルタミン酸)などについて報告します。