Academic Research
糖とアミノ酸で食中毒菌を撃退!メイラード反応物質の抗菌効果

糖とアミノ酸で食中毒菌を撃退!メイラード反応物質の抗菌効果

  • テーマ

    衛生対策・品質管理(殺菌、洗浄、異物除去含む)

  • 研究機関名

    北海道大学 大学院 農学研究院 食品加工工学研究室

  • 代表者

    小関 成樹

  • 本研究の主旨

    メイラード反応生成物の抗菌作用は一部の食品で報告されているが、メイラード反応の反応基質の組み合わせが抗菌作用に及ぼす影響について総合的に検討したものは少ない。本研究では、還元糖とアミノ酸の様々な組み合わせの可能性を総合的に検討した(Fig. 1)。 2種類の還元糖(グルコースとキシロース)と11種類のアミノ酸(アラニン、アルギニン、グルタミン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、バリン)のL-異性体の組み合わせによる22種類のメラノイジンの抗菌効果を調べた。 D-キシロースとL-フェニルアラニン(Xyl-Phe)およびL-プロリン(Xyl-Pro)の組み合わせから生成したメラノイジンは、420 nmの吸光度が3.5±0.2、25℃で48時間L. monocytogenesの成長を完全に阻害した。また、両メラノイジンの抗菌スペクトルを、グラム陽性菌とグラム陰性菌を含む10種類の細菌に対して調べたところ、Xyl-Phe系メラノイジンは、L. monocytogenesに対して、ナイシン(350 IU/mL)と同等の発育阻止効果を示した(Fig. 2)。Xyl-Phe系メラノイジンはB. cereusとB. brevisの生育を阻害し、Xyl-Pro系メラノイジンはS. enterica Typhimuriumの生育を阻害することに成功した(Fig. 3)。しかし、メラノイジンの異なる細菌種に対する抗菌スペクトルには、明確な傾向は見られなかった。 本研究で得られた知見は、フェニルアラニンやプロリンを含むキシロースから生成されるメラノイジンが、食品素材由来の新規な代替食品保存料として病原性細菌を制御できる可能性を示唆している。

Fig1北海道大学大学院農学研究院 食品加工工学研究室

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Fig2北海道大学大学院農学研究院 食品加工工学研究室

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Fig3北海道大学大学院農学研究院 食品加工工学研究室

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