Academic Research
偏光検査と機械学習がもたらす包装不良検知

偏光検査と機械学習がもたらす包装不良検知

  • テーマ

    検査システム(センサー、計測、分析、モニタリング含む)

  • 研究機関名

    徳島大学 ポストLEDフォトニクス研究所
    徳島大学、理工学部、理工学科、知能情報コース、マルチメディアデータ工学研究室

  • 代表者

    山口 堅三

  • 本研究の主旨

    食品中の異物検査では、金属検出機やX線検査機の導入で無機物を検知するが、毛髪や虫、ビニールなどの有機物は、先の検査機で検知できない。このため、人による目視検査で最終確認を行っている。我々は、FOOMA JAPAN 2022のアカデミックプラザにて、偏光の概念を導入した近赤外光による食品中の異物検知技術を報告した。ここでは、米を始め、肉や野菜、ジャムなどの食品中に混入した虫やビニール片の検知に成功した。一方、上記のような検査は、食品ではなく、それらを包装する容器も例外ではない。現在の包装検査では、高電圧や加圧、真空方式などの様々な自動選別機器による非破壊検査が実施されている。しかしながら、製造時のホールや破れ、これによる異物混入や汚れ、包装時の噛込みなどの多くの苦情が寄せられている。例えば、包装容器中に液体ソース入りの食品がある場合、容器に孔があるとソース漏れを起こしてしまう。現在、包装フィルムから容器を形成した直後に、先の食品と同様、目視による抜取検査で孔を確認するも全数検知には至っていない。本研究では、先行の光異物検知技術を用い、包装容器中の孔検知技術を開発したので報告する。さらに、画像演算と機械学習による画像解析で、不良の特徴量を抽出する新しい包装検査を提案し、包装不良の検知率100%を実現した。 図1は、近赤外光と偏光による異物検知の透過光学系と、偏光操作の原理を示す。近赤外光は、包装材に対し高い光透過性を示す波長を光源とし、これに感度を持つCMOSカメラと2枚の偏光子で試料台を挟む構成とした。光源からの検査光を試料に照射し、試料を透過した光をカメラで受光、撮影した画像データを解析することで検出画像を得た。ここで、検査光が直接入射する第1偏光子の偏光方向を固定し、第2偏光子の偏光を第1に平行(P)と直交(C)に配置し、透過光を制御した。 図2は、不透明な包装用シート中の孔の撮像と検査画像の解析を示す。目視像より、直径約0.5 mmの孔である。始めに、偏光子を平行配置した透過光像より、孔からの透過光を確認した。次に、偏光子を直交配置した透過光像より、原理上は光を透過しないが、孔のエッジによる光散乱で微弱な透過光を確認した。最後に、平行と直交像を画像演算処理し、孔のみの検出像を得た。検出像より、孔のみを判別し、その正確な位置の特定に成功した。なお、孔のない正常な不透明包装シートでは、これらは現れない。

ページトップへ戻る