Academic Research
農作物保護に資する害虫マイク-農業用温室を跋扈する害虫のヒソヒソ話を聴く-

農作物保護に資する害虫マイク-農業用温室を跋扈する害虫のヒソヒソ話を聴く-

  • テーマ

    バイオ

  • 研究機関名

    筑波大学 システム情報系 知能機能工学域 音響システム研究室 バイオ・環境計測グループ

  • 代表者

    海老原 格

  • 本研究の主旨

    トマトやキュウリなどを栽培する園芸施設に発生し,国内だけで数百億円の損失をもたらす病害虫「コナジラミ類」は,成虫の体長が約1ミリメートルと,目視での早期発見が困難である.また,最適な農薬散布に必要な情報(種・バイオタイプ)を得るためには,専用の検査キットの取り寄せや専門機関での識別が必要である.そして,コナジラミ類は,ひとたび園芸施設に侵入すると爆発的に増殖することから,発見の遅れと識別の長期化が施設園芸に深刻な被害をもたらしている.本研究は,コナジラミ類が微小な音を用いて交信すること,その交信音が種・バイオタイプ毎に異なることに着目し,園芸施設内の音をモニタリングし,人工知能(AI)の一つである深層学習モデルを用いてコナジラミ類の発生音を識別することで,種・バイオタイプ情報を農業従事者に速やかに提供できる,新しい病害虫セキュリティプラットホームを創成した.実験の結果,コナジラミ類の交信音に基づき,オンシツコナジラミ,および,タバココナジラミ(バイオタイプB,同Q1,同Q2)の判別を,DNAによる系統判別法と同程度の精度で実現できる見込みが得られている.本研究は,これまで目視やDNA検査に頼っていた病害虫の検知・識別に,音響工学を初めて導入したものであり,音響工学と農学の協働による新しいスマート施設園芸の出発点になると考えている.

20230120_筑波大・海老原_Fooma2023提出書類-アカデミックプラザ掲載図 【筑波大学 システム情報系 知能機能工学域 音響システム研究室 バイオ・環境計測グループ】

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