Academic Research
凍結食品内部の氷結晶構造の可視化 ― 何が見える?何がわかる?

凍結食品内部の氷結晶構造の可視化 ― 何が見える?何がわかる?

  • テーマ

    冷却・冷凍

  • 研究機関名

    東京海洋大学 海洋生命科学部 食品生産科学科 食品冷凍学研究室

  • 代表者

    渡辺 学

  • 本研究の主旨

    食品の凍結保存は,温度を下げるだけというシンプルな操作によって,数年レベルの長期間に及ぶ保存を可能とする,他とは一線を画する特別な保存方法である.加えて,食品を今あるそのままの状態で長期間保存できる可能性を持つ唯一の方法でもある.しかし,食品内部に氷結晶が生成することが避けられないという原理的な欠点があり,これにより微細構造が損傷を受けて品質劣化を招くことがある.それはしばしばテクスチャーの劣化やドリップロスの発生として表出するが,それらを測定しても,根源的な微細構造の損傷度合いを評価することは難しい.本研究は,光学顕微鏡やX線CTを用いて食品内部の氷結晶を可視化することで,微細構造の損傷の評価や抑制につなげることを目的とした.具体的な事例としては,凍結温度の違いによる緩慢凍結,急速凍結の影響,凍結前に過冷却や予冷均温化を行った場合の影響,魚の鮮度が凍結に及ぼす影響などについて報告する.緩慢凍結では氷結晶は粗大となり,急速凍結では微細化することは良く知られているが,凍結前に深い過冷却状態とすれば,氷結晶形状は非常に微細化し,かつサイズの分布が非常に小さくなり,解凍後の品質向上が見込まれる.また魚の場合,鮮度が良い状態で凍結すると氷結晶が微細化することが判った.これより,凍結条件は従来通りでも,前処理を変更するだけで凍結品質を向上させられる可能性があることが明らかになった.

Fig.1 (002) 【国立大学法人東京海洋大学 海洋生命科学部 食品生産科学科 食品冷凍学研究室】

Fig.2 (002) 【国立大学法人東京海洋大学 海洋生命科学部 食品生産科学科 食品冷凍学研究室】

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