Academic Research
高圧を用いたバラマンディ(Lates calcarifer)の解凍方法

高圧を用いたバラマンディ(Lates calcarifer)の解凍方法

  • テーマ

    冷却・冷凍

  • 研究機関名

    国立台湾海洋大学、生命科学院、食品科学学科、食品工学研究室
    国立台湾海洋大学、生命科学院、食品科学学科、食品分析研究室

  • 代表者

    劉 修銘

  • 本研究の主旨

    水産物における冷凍技術は腐敗を遅らせ、輸出性を高めるため、様々な技術がすでに開発されているが、解凍技術に焦点を当てるのは比較的少なく、さらなる研究が必要とされている。解凍の過程において、水産物の品質は氷晶の蓄積と成長により組織に損傷を与え、その結果解凍後のドリップロスが増加し、味と弾力が低下する。急速解凍は上記の問題を緩和することができるが、従来解凍を加速するために解凍媒体温度を上げる必要があり、これは脂質の酸化および微生物の増殖を促す。高圧解凍法は、氷の融点が圧力上昇とともに低下する特性を利用して、低温環境で急速な解凍を実現し、これにより解凍後の水産物品質を向上させることが期待されている。一方で、高圧処理はたんぱく質の変性を促すため、高圧解凍法を水産物に応用する際に品質への影響が懸念される。また、高圧解凍は高圧容器内で行われるため、解凍物の中心温度を測定するのは困難であり、解凍時間を計算する手法も必要とされている。そこで本研究は、バラマンディ (Lates calcarifer) を試料とし、水産物品質を維持するための、迅速かつ均一に解凍できる圧力解凍条件を提案する。室温解凍、冷蔵解凍、流水解凍、超音波解凍のバラマンディ解凍曲線をそれぞれ確認したところ、冷蔵解凍方法で6時間かかるに対し高圧解凍は3分と大幅に短縮され、効率が大幅に向上した。高圧処理を施したため、生菌数も従来法より著しく減少した。保水性において、遠心保水率は新鮮の試料よりは低いが、従来法解凍の試料より向上し、さらに加熱調理後の保水率は新鮮の試料と同水準を保てた。筋原線維含有量の測定結果により、高圧解凍により一部の筋原線維タンパク質の構造変化と変性が引き起こされ、それによって筋原線維含有量が減少した。このような筋原線維タンパク質の変化が保水率に影響を及ぼしたと考えられる。実験により、高圧解凍法は従来法と比較し、凝集性の向上や脂質酸化の低減効果も見られた。本研究により水産物加工前の新規解凍法として、高圧解凍は品質を品質や保存性を向上する可能性を持ち、今後もさらなる研究が必要とされている。

ページトップへ戻る