大豆タンパク質のミクロ構造制御による代替肉製造へのアプローチ
-
テーマ
食品加工
-
研究機関名
京都大学大学院工学研究科化学工学専攻分離工学分野
京都大学大学院工学研究科化学工学専攻材料プロセス工学分野
京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻農産製造学分野 -
代表者
中川 究也
-
本研究の主旨
近年、高齢化の進行やダイエットによる摂食の抑制などにより,高齢者や若い女性を中心に栄養素の偏りなどによる新型栄養失調が増えている。 栄養素の中でも特にタンパク質の不足が指摘されており,肉類などの良質タンパク質を積極的に摂取しなければならない状況にある。一方,肉類の生産は地球環境に大きな負荷を与えることが問題となっている。 これらの背景のもと,タンパク質に富む植物性原料である大豆を用いて,効率よく肉類代替食品(大豆肉)を製造できる技術の確立が熱望されている。 大豆肉の開発により,タンパク質不足を解消できる鍵となるものの,現状の大豆肉製品は食味,食感や大きさの観点からもまだまだ開発途上といえる。 そこで本研究開発では,市場で見ることのない数センチ角以上のブロック状で,種々の栄養素(油脂,ミネラル,機能性成分など)を任意に添加できるユーザーフィットな肉様テクスチャーを持つ大豆原料食品の製造加工法を開発してきた。 製法は,大豆粉末,油脂,アルギン酸ナトリウムを主成分とするスラリーから,繊維状構造体,ブロック状構造体を作製し,これらの組み合わせによって肉様の組織構造を模す加工技術の組み合わせになっている。 紡糸プロセスと凍結プロセスの適用が大きな特徴である。開発品は畜肉に近い食感を備えるとともに,従来実現不可能であったサイズのものを製作できることも注目すべき特徴である。APではこの製法を発表する。