キサンタンガムはなぜ増粘剤に多用されるのか?
-
テーマ
流動・撹拌
-
研究機関名
岩手大学 大学院連合農学研究科
構成大学;弘前大学,食品物性機能制御学研究室 -
代表者
佐藤 之紀
-
本研究の主旨
キサンタンガムなどの食品ハイドロコロイドは,コンビニエンスストアなどで売られている食品を はじめとして,テクスチャー(食感)などの改良などを目的として,多くの食品に用いられている。 食品ハイドロコロイドは,溶媒や共存低分子と相互作用し,食品系の機能性に大きく影響を与えてい るため,その選定に困ることが多い。しかし,個々のハイドロコロイドに焦点を絞った研究を行って ,それを販売促進につなげようとする研究は多いが,多くの食品ハイドロコロイドの特徴を同時に比 較するアプローチは少ないように思える。そこで,“困ったときのキサンタン”と食品製造現場の一 部でささやかれている理由を食品ハイドロコロイドの基礎研究の中で体系化させようと,長い年月を かけて食品ハイドロコロイドの分類を行ってきている。静電的相互作用がほとんど無視できる系から スタートして,現在は低分子電解質のNaClが溶けている系での食品ハイドロコロイドの性質を指標に 粘度を用いて解析してきている。その結果,キサンタンガムは,代表的な他の増粘剤と比べて,分子 自体はNaClの影響をほとんど受けず比較的安定な構造を保持していると思われた。さらに,温度変化 しても、キサンタンの水溶液の粘度は,NaClが共存していてもほとんど変化しないことも明らかにな った。これらの分子の安定性に加えて,少量で高粘度を示すところにキサンタンが多用される理由が あるのであろう。